nearproの日記

特に意味はありません。主に読んだ本をただただ記録します。

初恋

初恋 (光文社古典新訳文庫)

初恋 (光文社古典新訳文庫)

アルテミス系処女ジナイーダに初めて恋をした少年ウラジーミル、女王のように振る舞う彼女が恋をしたのは少年の父親でした、という話。純粋無垢で残酷な処女が愛を知り女性にかわる様が面白い。

少年や自分に好意を寄せる男どもの前ではまさに女王のように振る舞う彼女なんですが、愛する男に鞭で打たれ、その傷跡に自らキスをする。そのシーンが印象的。

ああ、若さよ!青春よ!おまえはどんなことにも左右されず、まるで宇宙の宝物をすべて手にしているかのようだ。おまえは憂いにまで慰めを見出し、悲しみまで似合ってしまう。

一冊一文と決めていたのだけど、青春について、あまりにも秀逸な文章だったので下も引用させてもらいます。

青春に魅力があるとしたら、その魅力の秘密は、なんでもできるというところにでもはなく、なんでもできると思えるというところにあるのかもしれません。持てる力を、他に使いようがないまま無駄遣いしてしまう、そこにこそ青春の魅力が潜んでいるのかもしれません。だれもが自分のことを浪費家だと本気で思いこみ、「ああ、時間を無駄につぶさなかったら、どれほどすごいことができただろう!」と本気で考える、そこにこそ潜んでいるのかもしれません。