ドリアン・グレイの肖像
- 作者: オスカーワイルド,福田恒存
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1962/05/02
- メディア: 文庫
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ヘンリー卿=高田純次。彼の言葉には何の意味も無い。これは金言でも思想でも何でもない。ちょうど、芥川龍之介の侏儒の言葉のように、思想の中枢に置くにはあまりにも危険でナンセンス。ただ、これを僕が高校生の頃に読んでいたら、きっと世界は変わってしまったと思う。
「ドリアン、ドリアン」少女は叫ぶ。「あなたを知る前は、演技こそあたしの生活のただひとつの現実だった。あたしが生きていたのは芝居小屋のなかだけだった。それをあたしはみんなほんとうだと思っていた。あたしはある晩はロザリンドだったかとおもうと、つぎの晩にはポーシャになっていた。ベアトリスの歓喜はあたしの歓喜、コーデリアの悲しみもあたしのものだった。なにもかも信じて疑わなかったの」
それにしても、ワイルドの描く情景は、色が多いので、普通の人の小説よりも目が疲れる。