nearproの日記

特に意味はありません。主に読んだ本をただただ記録します。

ドリアン・グレイの肖像

ドリアン・グレイの肖像 (新潮文庫)

ドリアン・グレイの肖像 (新潮文庫)

 

ヘンリー卿=高田純次。彼の言葉には何の意味も無い。これは金言でも思想でも何でもない。ちょうど、芥川龍之介侏儒の言葉のように、思想の中枢に置くにはあまりにも危険でナンセンス。ただ、これを僕が高校生の頃に読んでいたら、きっと世界は変わってしまったと思う。

 

「ドリアン、ドリアン」少女は叫ぶ。「あなたを知る前は、演技こそあたしの生活のただひとつの現実だった。あたしが生きていたのは芝居小屋のなかだけだった。それをあたしはみんなほんとうだと思っていた。あたしはある晩はロザリンドだったかとおもうと、つぎの晩にはポーシャになっていた。ベアトリスの歓喜はあたしの歓喜、コーデリアの悲しみもあたしのものだった。なにもかも信じて疑わなかったの」

 

それにしても、ワイルドの描く情景は、色が多いので、普通の人の小説よりも目が疲れる。