nearproの日記

特に意味はありません。主に読んだ本をただただ記録します。

海に住む少女

海に住む少女 (光文社古典新訳文庫)

海に住む少女 (光文社古典新訳文庫)

 

誰もが抱える愛と孤独と悲しみと憎悪。心にある隙間と不安。

言語化できない、理由もわからないけど、読んでいて不思議と涙が滲んだ。胸がキュッとする。

 

沖合いで、手すりにひじをつき、物思いにふけるそこの水兵さん、夜の闇の中で愛するひとの顔をじっと思い浮かべるのも、ほどほどにしておいてくださいな。あなたのそんな思いから、とくに何もないはずの場所に、まったく人間と同じ感性をもちながら、生きるも死ぬもままならず、愛することもできず、それでも、生き、愛し、今にも死んでしまいそうであるかのように苦しむ存在が、生まれてしまうかもしれないのです。(海に住む少女)