nearproの日記

特に意味はありません。主に読んだ本をただただ記録します。

恐るべき子供たち

恐るべき子供たち (光文社古典新訳文庫)

恐るべき子供たち (光文社古典新訳文庫)

 

同性愛、近親愛、トリップ、幽体離脱、てんこ盛りな感じ。幻想的な文章で、ややもすればシュールレアリスム的。つまり、登場人物の行動は謎が多いけれど、すごく現実的。彼らの行動は破天荒で理解し難いけれど、結局はどこか説得力がすごい。

滅びの美学とかが好きなら刺さるかもしれない。あと、幽体離脱とか明晰夢とか自律訓練法とか催眠術とかそういうのが好きな人は結構はまると思う。

 

この部屋を見れば、ここから彼を追いだすことがじつに不当な仕打ちであり、彼の結婚と悲劇が宿命だったことがわかる。ここには大いなる神秘が透けて見えていた。エリザベートがマイケルと結婚したのは、彼の財産のためでも、力のためでも、優雅さのためでも、魅力のためでもない。彼女がマイケルと結婚したのは、彼の死のためだった。

 

コクトーがどうこう知らない人でも、愛する後輩(ラディゲ)を失い、アヘン中毒でべろべろのおっさんが書いたと言われたら納得する気がする。僕は好きです。