背徳者
- 作者: ジッド,石川淳
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1951/12
- メディア: 文庫
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過去よりも現在、現在より未来。過去の無意味さを信じ、新たな快楽を求め続け、最終的にミシェルは妻を(結果的に)死なせてしまう。普通に考えるとミシェルはとんでもないクズ野郎だけど、よくよく考えると、誰しも妻とは言わず、自分の快楽のために何かを見て見ぬふりをしているんじゃないだろうか。でもそれは悪いことじゃないかもしれないし、いたって普通のことなのかもしれない。
あと、美しい青少年や子供たちに惹かれる姿は同性愛っぽいと言われればそうだけど、美しい青少年に男でも惹かれる気持ちは、なんとなく分かる。それは、自分の容姿や肉体に対するコンプレックスの裏返しであり、また、男女の性愛行為を暗に含む、穢れに対する潔癖の現れだと思う。
なんというか、男とはセックスはできないから、余計に惹かれちゃうんですよね。つまりそれは汚れる心配がない。
僕が刻一刻の打切を行うのは、昨日のことを全く忘れてしまうからだ。どうしても、幸福だったと云うことでは、僕にはもの足りないのだ。僕は死んだものに信をおかない。そして、もはや無いと云うことと決して無かったと云うことを一緒にして考える。