nearproの日記

特に意味はありません。主に読んだ本をただただ記録します。

大地のゲーム

新潮 2013年 03月号 [雑誌]

新潮 2013年 03月号 [雑誌]

綿矢りさという作家は実は読んだことがなかった。読むのが怖くて避けていたと言ったほうがいいかもしれない。

正直、綿矢りさはめちゃくちゃ自分のタイプの女性だ。卒業旅行で青森に行くあたりに強烈なシンパシーを感じずにはいられないし、第一、顔が可愛い。ずるい。

しかし、僕はここまでの人生で一つの仮説をもつようになった。それは、綿矢りさみたいな(みたいなというと抽象的だけど、みたいな、としか表現できない感じ)女性は、とてつもなく残酷なのだ。(アルテミス的というか、コケティッシュというか)

かといって僕は綿矢さんのことなんてほとんど知らないわけだから、ここは、彼女のような女性が描く女性は、といっておいたほうがいいかもしれない。

とにかく、そう思って彼女の作品は避けていたのだけど、思うところがあって読んでみた。そしたら、案の定、何度も死にたいと思った。作品の感想については、いろんな人が語っているだろうから別に僕が書くことも無いと思う。

生に対する肯定とか、そんなものはこの際どうでも良い、これは、この作品は、僕たちのような不器用な童貞精神(魂のルサンチマン)に対する挑戦状なのだ。とにかく、僕らは私と私の男みたいな関係に毎日幻想を抱いて、そして砕かれていくのだ。それを、彼女は知ってて、こんな仕打ちなのだ。

「一度、思うさま力を込めて抱きしめてみてよ。もう限界まで、私のことを気にせずに、思いっきり」
 私の男は私をぎゅっと抱いた。こんなものなの、手加減するなんて私を馬鹿にしてんの、昔の男の方がもっと力強くて逞しかった。色々口まかせに煽ったけれど、彼はいつまで経っても私が息苦しくない程度の力しか入れず、そのうちふっとベッドから出て行って煙草を吸い始めた。換気扇の回り出す音を聞きながら、私は彼の匂いの残るシーツを思いっきり抱きしめた。

ぎゃふん。