nearproの日記

特に意味はありません。主に読んだ本をただただ記録します。

古事記・上代歌謡

年末に、日本の神話について触れることがあったので、古事記を改めてちゃんと読んでみようと思って読んでみることにした。こういう神話とかは昔から好きで世界のむかし話シリーズとかを小学校の図書館で読み漁ってたことを思い出す。

読む度に違う発見があって面白い。

まず、日本人らしいなぁという発想としては、「国土と神を同一視」する点であって、四国や九州は大地でありながら体と複数の顔をもつ神として描かれる。例えば四国は1つの身体に4つの顔をもつ神様であり、顔がそれぞれ神である。エヒメは、エ(=兄=年長)のヒメ(=女性)という4つの神の中で一番早く誕生したから、だとか、阿波担当の神様は穀物の神として後々スサノオの話に登場する。

そういう中で、神世七代の諸神々は大地が混沌から凝固するに至るまでの状況を神格化したものでありつつ、同時に混沌から人間が生成されるまでの状況でもある。

中にはとんでもない名前なんかもあって、例えば、「オオトノヂノミコト」は若干の語弊を恐れずに意訳すると「ちんこが出来たよ」という状況の神格化であるし、そもそも国を産み、神を産むイザナギイザナミは名前からして「やる夫・やる実兄妹」である。何をやるのかと言われれば、「みとのまぐはひ」であって、つまりSEXを「やる夫・やる実」なのである。(諸説あり。ここでは誘うの語幹「イザナ」に男性を表すギと女性を表すミと考えて)

是に其の妹伊那美命に問ひて曰りたまはく、「汝が身は如何に成れる」とのりたまへば、答白へたまはく、「我が身は成り成りて成り合わざる処一処在り」とこたえまひき。爾に伊耶那岐命詔たまはく、「我が身は成り成りて成り余れる処一処在り。故、此の吾が身の成り余れる処を以ちて、汝が身の成り合はざる処に刺し塞ぎて、国土を生み成さむと以為[おも]ふ」と答曰へたまひき。

ちなみに度々登場する女性の陰部を古事記ではホトと呼ぶのだけれど、柳田國男によると横浜の保土ヶ谷みたいに「ホト・ホド」という地名は女性の陰部に似た地形や、女性器から連想される水と関わりの深い地域の名前であるらしい。つまり、現代風に言えば保土ヶ谷は「まん○がたに」。もう横須賀線湘南新宿ライン乗れなくなっちゃう…。

他にも、女性の陰部に関わる話は、いろいろあって面白いけれども、これは多産に対する神格化ともいえて、それはそれで有難かったりする。日本人の原罪とは何か、日本人の恋愛観とは何か、を考えて読んでいたのだけど、それよりも話のぶっ飛び具合が素晴らしきかなヤマト魂。一度も読んだことの無いという方は、ぜひ読んでほしい。