カルメン
- 作者: メリメ,堀口大学
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1972/05/23
- メディア: 文庫
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愛したジプシー女のために地位を捨て、窃盗、詐欺、殺人といった悪事に次々に手を染めていき、最後にはその女をもその手で殺してしまうドン・ホセ。マノン・レスコーに強く影響を受けているのは言わずもがなで、スペイン版マノン・レスコーと言ってもあながち間違いではない。
マノン・レスコーでは、最後、マノンとグリューは愛で結ばれた中、死んでいくのに対し、カルメンはドン・ホセによって殺される。その手で殺したカルメンをドン・ホセが埋葬する場面は変な感動を覚える。
あの女の口から出るこうしたことの全部が、すべて嘘でした。あの女はたえず嘘をついていました。あの女が一生のあいだに、ただの一度でも本当のことを言ったことがあるかどうか私は知りません。そのくせ、あの女に何か言われると、私はそれを信じたものでした。