nearproの日記

特に意味はありません。主に読んだ本をただただ記録します。

谷崎潤一郎犯罪小説集

谷崎潤一郎犯罪小説集 (集英社文庫 た 28-2)

谷崎潤一郎犯罪小説集 (集英社文庫 た 28-2)

集英社文庫の谷崎潤一郎○○小説集の第一弾、犯罪小説集。ポーの影響を多分に受けたその作品は江戸川乱歩など後の日本の推理小説に大きな影響を与えたそう。

どの話も単純に面白い。芥川龍之介の「筋の面白さが作品そのものの芸術的価値を強めるということはない」に対して谷崎が「筋の面白さを除外するのは、小説という形式がもつ特権を捨ててしまふことである」と反論したことも頷けます。もちろん、マゾヒズムにどっぷり浸かった谷崎ワールドも全開。官能的です。

夢ならば覚めよと祈るのが人情ですけれど、僕の場合は反対でした。僕はそれほど夢と云うものに価値をおき、信頼を繫いでいる人間なんです。極端に云えば現実よりも夢を土台にして生活している男なんです。