nearproの日記

特に意味はありません。主に読んだ本をただただ記録します。

ブラームスはお好き

ブラームスはお好き (新潮文庫)

ブラームスはお好き (新潮文庫)

サガンが「悲しみをこんにちは」を発表したのが18歳のとき。そして「ブラームスはお好き」を書いたのが23歳。23歳のサガンが選んだのは39歳バツイチ女性の壮年の恋。

バツイチで仕事に生きるポール(ディスプレイデザイナー・39歳女性)と、彼女に恋する美しき青年(それはもう、とんでもないイケメン)シモン(弁護士見習い・24歳)、そしてポールの愛人、浮気症のロジェ。『きょうは会社休みます』も顔負けの大人の女性と青年との恋物語

愛人の浮気に愛想が尽きて、若い男に言い寄られて、愛されている悦びを全身で感じながら、それでも何年も同じ時間を過ごした愛人のことを忘れられなく、最後、ポールはシモンにこう言い残し、去る。

「シモン、もう、私、オバーサンなの、オバーサンなの」

なぜポールはシモンの元を去り、ロジェの元へ戻ったのか。それは年齢のせいなのか、過ごした年月の長さのせいなのか、まだ僕には、あまりピンと来るものがなかった。

かれは時をかせいでいるつもりだった。だが、それは、自己の人生をすこじずつ失っていくことなのであろうか。いま自分が、どこまで来ているのか、もうかれにはわからなかった。