若者はみな悲しい
- 作者: F.スコットフィッツジェラルド,F.Scott Fitzgerald,小川高義
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2008/12/09
- メディア: 文庫
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この本に出会ったのは、2年前の冬で、会社を休んで恵文社に行った日だった。「若者はみな悲しい」というタイトルに少し心動かされたけれど、当時は仏文学に傾倒していた時期で、次読もうと思って結局、ここまで読まずにきていた。
短篇集ということと小川高義さんの翻訳が非常に小気味よく、ほぼ1日で読み終えた。結論としては、早く読んでりゃよかった。
あえてまとめて言ってみると、1920年代のいわゆる「ロスト・ジェネレーション」と呼ばれるアメリカの若者を題材に、彼らの様々な喪失体験を描いた作品集。どこか寓話的で面白い短編が並ぶ。
基本的に主人公は、仕事で成功した「勝ち組」たち。しかし、その成功のために、彼らは何かを失っている。それは、若さとも言えるし、青春とも言える。
何かを得るためには何かを捨てなければいけない。あまりにも分かりきったその言葉を考えなおすキッカケになった。
あと、コケティッシュ+失恋という僕が大好物な感じだったので、ある意味すごい男ウケする話が多いと思った。
「その昔」と、彼は言った。「その昔、この自分には何かがあった。いまはない。もうない。なくなった。泣くこともできない。どうでもよい。あの何かが戻ってくることはない」(冬の夢)
特に良いと思ったのは、「冬の夢」「常識」「お坊ちゃん」。